横須賀美術館と観音崎公園
こんにちは、永上です。
いよいよ、今年も終わりが近づいてきました。
先日、「横須賀美術館の建物と明治時代の構造物・砲台跡ガイドツアー」に参加させていただきました。私の聞き間違いや、勘違いがあるかもしれませんが、今回のこのツアーのお話を少しばかり…。
横須賀美術館は、他の美術館とはちょっと異なる視点で取り上げた企画展が魅力で、またその展示方法には工夫やアイデアが込めらており、毎回新しい驚きと感動を与えてくれます。
今回このツアーは、雑誌ELLE DECORの「一度は訪れるべき、世界の絶景美術館10」に選ばれたことを機に開催されたそうです。
横須賀美術館のコンセプトは、「ランドスケープとの一体化」で、そのコンセプトを見事に体現された建築となっています。目の前に広がる海と背後の山、そしてその間をつなげるように美術館がたっています。
美術館の設計は山本理顕さん、管内のピクトグラムは、2020年の東京オリンピックで注目を集めた廣村正彰さんが担当されています。
美術館は、海からつながるように山に向かってわずかに盛り上がった広場の上に建っています。海から山へのつながりを遮断することなく計画された建物は、その空間の半分を地下に収め、正面を北(海)に向けて建てられています。
海に向かって設けられたガラス張りの開放的な空間は、ワークショップ等を行う多目的室、そしてレストランとなっており、イベントや講義を体験したり、ゆったりと食事を楽しむ多くの人たちの姿があります。また広場は家族でくつろいだり愛犬のお散歩で立ち寄る人などがみられ、良い空気と時間の流れを感じられる場所です。
この印象的な広場は、盛り土をして作られたそうですが、まるでもとからそのような地形であったかのようにこの景観に溶け込んでいます。
美術館は観音崎公園の中に建てられていますが、この公園は日本で初めて砲台が建設された明治時代の軍事施設を利用して作られており、園内のいたるところにその面影を残しています。
当時、東京湾は日本の最重要防衛湾で、この横須賀と千葉の富津を結んだライン上に海堡(人口の島)を作り砲台を設置したそうです。
砲台の胸墻(砲台を守る壁)には伝声管が設けられており、自然の侵食に耐えまだつながっている箇所を覗き込んでみると、隣の砲台の伝声管から入る光がみえ、なんだかタイムトンネルの中を覗いたようです。
ではどこからこの伝声管を使って指令を発していたかというと、観測所と呼ばれる測遠機を置いた下の付属室からでした。普段は入ることができないその付属室にも特別に入らせていただくことができました。
こちらも普段は入ることができない掘割と掩蔽壕。自然がこの人工物を飲み込みつつあるのを感じます。
公園内のすべての建造物に言えますが、これらを残して後世につなぐか、否かを決める時が近づいてきているのかもしれないと感じました。
アートだけでなく、近代日本史や歴史的建造物も学ぶことができる横須賀美術館・観音崎公園。他の美術館にはない魅力を改めて感じたガイドツアーでした。
今年一年、ティーズリビングをご利用いただきましたこと、心から感謝申し上げます。
来年も変わらぬご愛好の程、宜しくお願い申し上げます。